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万国の労働者よ,団結せよ
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ソ連の国旗は,左のアイコンの通りの赤旗でした.ソ連崩壊から20年近くがたとうとしている今,この旗を見かけることはほとんどなく,世界の国旗を販売している株式会社更五のサイトでは,「歴史的な旗」のカテゴリーに分類されています.左のアイコンは,モスクワで買ってきた「ソ連地図帳」に載っていたものをもとに,私が自分で描いたもので,左上のマークの大きさの,旗全体の大きさに対する割合が,実際よりも少し大きくなっています.左上のマークは星と鎌とハンマーで,鎌は農民,ハンマーは労働者の象徴です.

 

ソ連には,国旗の他に,右のような国の紋章がありました.地球を取り囲む左右の麦の穂に巻かれている帯には,「万国の労働者よ,団結せよ(Пролетарии всех стран, соединяйтесь!)」というスローガンが,ソ連を構成していた15の共和国の公用語で書かれています.左上からトルクメン(トルクメニスタン)・タジク(タジキスタン)・ラトビア・リトアニア・グルジア・ウズベク(ウズベキスタン)・ウクライナ,右上からエストニア・アルメニア・キルギス(キルギスタン)・モルダビア(モルドバ)・アゼルバイジャン・カザフ(カザフスタン)・白ロシア(ベラルーシ)の各語,そして真中がロシア語です.

また,各共和国にも,「麦に囲まれた星・鎌・ハンマー」を基本とする紋章と,ソ連国旗に何か色の帯等を付け加えた「共和国旗」がありました.紋章は,各国の特徴を取り入れて作られており,例えば麦の一部が,中央アジア諸国では綿花,グルジアやアルメニアではブドウに置き換えられていたり,トルクメンやアゼルバイジャンでは油井が描かれていたりします.

モスクワの地下鉄の電車の側面にはこの紋章がついたので,私は毎日見ておなじみになっていました.しかし,共産党が世界を支配しているかのような「地球を覆う鎌とハンマー」や,15共和国が麦の穂を束ねてソ連の結束を表す図柄など,ソ連崩壊後の今,こうやって見てみると,大変むなしく感じます.帯にかかれている言葉にしても,ソ連構成15共和国はそれぞれ別の国になり,国によっては,ソ連時代に使っていたキリル文字(ロシア語の文字)を廃止して,ローマ字にしたところもあるようです.

 

右の写真は,モスクワの中心部にあるカール・マルクスの像です.台座の部分には,「万国の労働者よ,団結せよ」と刻まれています.しかし,ソ連崩壊のころには,「団結せよ」を消して,「万国の労働者よ,ごめんなさい(Пролетарии всех стран, извинитесь)」と落書きされていたそうです.

Karl Marx