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ソ連運輸省
V. I.
レーニン名称
モスクワ市
地下鉄
soviet

表題は,モスクワの地下鉄の正式名称"МПС СССР Московский Метропольтен имени В. И. Ленина"を直訳したものです.「〜名称」というのは,「だれそれの名前を記念につけた,」というロシア語の表現です.モスクワには「レーニン名称なにがし」がたくさんあり,例えば,「レーニン図書館」は,正しくは「レーニン名称図書館(Библиотека имени Ленина)」でした.ですから,モスクワの地下鉄は「レーニン地下鉄」と呼んでもおかしくないわけです.実際,地下鉄には「レーニン何とか」という駅が4つもありましたし,駅の入り口の表示の中には,駅の名前よりも「レーニン名称」という字の方が大きいところもありました.

 

地下鉄はモスクワの名物のひとつで,地下鉄を題材にした絵葉書もあるくらいです.その絵はがきにイラストとして使われているのが,モスクワの地下鉄の象徴とも言える,長い長いエスカレータです.この写真は,研究所の最寄り駅"Цветной Буливар"(ツヴェトノイ・ブリヴァール,「花の並木道(ブールバール)」という意味)駅のエスカレータです.日本の地下鉄の駅では,地上の何ヶ所かに入り口があり,地下に改札口がありますが,モスクワでは,都心の一部の駅を除いて,地上に駅舎があります.改札口は地上の駅舎内にあり,そこから長いエスカレータを通って,直接プラットホームまで降ります.ほとんどの路線,とくに都心部の周りを走る環状線とその内側の路線は,地下の非常に深いところを走っています.これは,戦争の際に,市民が避難するための防空壕として使うためといわれています.

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エスカレータは,日本のものと比べると,かなり速く動きますが,それでも,乗ってから降りるまで,けっこう時間がかかります.エスカレータに乗っている間,階段の段差を利用して,背の高さを合わせて接吻している男女を,よくみかけました.また,この長いエスカレータを,ものすごい勢いで駆け降りていく人も,よく見かけました.段を踏み外して転落したりしたら,大変だと思うのですが…

 

この写真は,科学アカデミーホテルの最寄り駅"Октябрьская"(アクチャーブリスカヤ)駅の,地上の駅舎にある改札の様子です.地下鉄の運賃は,全線均一1回5コペイカ(=0.05ルーブル,当時1円25銭)でした.地下鉄には乗車券はなく,5コペイカのコインを,自動改札機に直接投入して通ります.このために,駅には,各種コインを5コペイカコインに両替する機械があります(写真の左端の,ピンクの服を着た人の腕の辺りに見えている,四角い機械です).これが理由なのかどうかはわかりませんが,5コペイカのコインは,各種コペイカコイン(1, 2, 3, 5, 10, 15, 20, 50と8種類もありました)の中で,際立って大きなサイズになっていました.私は,1ヶ月間地下鉄・バス・トロリーバス・路面電車全線有効の定期券を利用していましたが,その場合は,左端の有人改札を通ります.

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エスカレータを降りると,この写真のようなプラットホームに降りることになります.この写真は,「アクチャーブリスカヤ」駅の環状線のプラットホームと,進入してくる電車です.地下鉄には,このように装飾が施された駅が,たくさんあります.そのあたりは,「その2」でご紹介しましょう.

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